矢口敦子「償い」幻冬舎文庫

３６歳の医師・日高は子供の病死と妻の自殺で絶望し、ホームレスになった。流れ着いた郊外の街で、社会的弱者を狙った連続殺人事件が起き、日高はある刑事の依頼で「探偵」となる。やがて彼は、かつて自分が命を救った１５歳の少年が犯人ではないかと疑い始めるが・・・・。
絶望を抱えて生きる二人の魂が救われることがあるのか？感動の長編ミステリ。　　　＜裏表紙より＞


会社の先輩が本好きなんでしょ？と貸してくれました。全然知らない作者だったので面白かったですか？と聞くと、うーん、感動というミステリ、でも本屋に売れてるって書いてあったよ。とのこと。実際、新聞で紹介されたりしているらしく本屋でもポップつきで平積みにされていた。

しかし読んでみると感動？救い？や　ないない。
なんで２５万部も売れるかねー。この本。

ミステリーとしてトリックや展開が面白いわけでもなし
「人の肉体を殺したら罰せられるのに、人の心を殺しても罰せられないのか？」という重い主題を扱っていると評されているけれど、重いか？むしろ薄っぺらくて月並みな気がするんだけれども。
人間社会で生きていくには誰しも精神的苦痛を味わったことがあるだろうし、多かれ少なかれストレスを抱える社会なんだからこういうことを大真面目に語れば語るほどアホみたいに見えてくるのですよ。

こういう月並みな主題を扱うには、道徳観念をとっぱらって、読者の裏の裏をかいて理詰めに、机上の空論的に理論を展開させて新しい観念を作り出すか、
もしくは月並みな展開の約束事は守って、良質なエンターテイメントとして話の緩急でぐいぐいと読者をひっぱて完成された物語にするかのどちらかだと思うのだけれど、この作品は前者になりえないとして後者としてもなんだか中途半端。
「それでも生きていくしかないんだ、生きているしかないんだ！」という物語の帰結はあまりにも、なんだか、古いし演出も下手で感動、しない。ホメロスは感動しない
エピローグの終わり方も全然余韻を残すような上手い終わり方ではなかったし、なんだかなー。


主人公・日高の考え方も昔からの道徳観念というか、新しいものが何もなくてつまらなくて。
ターゲットは４０代とか５０代のおじさんなのかな。ホームレスになったインテリとか、社会的弱者とか、その辺の人には受けそうで新聞で紹介されていたというのも納得。


始めのほうの刑事の山岸とホームレスだけど実は元医師・日高のやりとりはかっこよかったです。
ホームレスのくせに日高かっこよすぎ　笑
実は・・・・ってところがヒーローだよね。
始めの方は、確かに、何が起こるかわくわくしたかも。


世代によって違うのかもしれないけど、読み終わってから「なんか違う　汗」とモヤモヤが残る本なきがする。
なんで２５万部も売れるのかわからーーーーん！！！
誰か教えてくらはい